今、コロナ禍で、ソーシャルディスタンス(Social Distance)が叫ばれ、全世界の共通言語のようになってきていますが、決して新しい言葉ではなく、1960年代に文化人類学者のE・T・ホール博士が説いた、人間の生活様式全体の具体的なありかたについての体型的にまとめた対人距離の考え方です。あくまで、文化人類学者の提言ではあるものの、建築やプロダクトデザインなどを専門とされる方は、必ずパーソナルスペースを人間工学の一分野で学んでいると思います。
国や民族、地域、個体差によって、対人距離の考え方は違いますが、空間を構成する基本的なモデュール(基準寸法)に無意識に落としこまれてきている事も事実です。
よくご存知の西洋のオーダーや日本の木割に始まるモデュール、畳や木軸、西洋の列柱廊にみる整然とした美しさも、この基準寸法に用いられるモデュールの基本単位を見て取れます。
近現代に入って、コルビジェのモデュロールに始まるプレファブリケーション技術は、近代建築にとっての大きなツールとなり進歩していきますが、振り返ると、20世紀は正方形とグリッドシステムの最たる時代とも言えます。このグリッドの中で、個体間の距離や密接度合い、社会的な距離や公共的な距離を私たちは、自然と身に付けて来ています。
日本人の社会的距離(ソーシャルディスタンス)は。古くからしっかりと文化に根ざして、確実に様式美の次元まで高められているように思います。
四畳半や六畳間・・での、主と従の関係から、路地で触れ合う人々交わり、刀の鞘が触れない程度の密接距離から、60cm~70cmの日本刀を抜いた侍の個体距離は2700mm・・畳一畳半。これが日本人のソーシャルディスタンスの基本です。
脈々と受け継がれてきた日本人特有のこの距離感覚は、良かれ悪しかれ今のコロナ対策に役立っているのではと思います。
欧米と比較して日本人は、<Personal Distance>と<Social Distance>が、広めな民族ですが、それいえ「距離感が難しい」と悩む人が多く、特に男女間では、この距離のとり方次第で、婚活も大きく変わってきます。女性は密接距離<Intimate distance>が広く、かつ全方位型で、側面と背後は、男性の数倍はあります。逆に男性は猪突猛進型、前方2~3m、刀を抜いた侍の個体距離ほど警戒しています。背後はガラガラで、意識の外にあります。
交際に入ってこの距離の縮めた方で迷ったら、異性の仲人にいろいろと聞いてみるのが良いでしょう。男と女ですから、仲良くなれなければ結婚はありません。パーソナルスペースについて知ることで、人間関係だけでなく婚活自体をうまくいかせることができます。
リエゾンビュア銀座
別ウインドウで見る
( 54 views )